あんどうピアノ教室 安藤佳代です。
今日は辻井伸行さんのリサイタルを聴き行ってきました。
今回のプログラムは辻井伸行さん初となる曲が多く、とても楽しみにしていたリサイタルです。
まず1曲目はバッハ フランス組曲ト長調。
汚れを知らないような美しいピアノの音色が美しく見事に奏でられます。繰り返しのたび変化のある装飾音、粒の揃った美しいノンレガートの左手、ピアニシモでもキラキラとした粒の音色、色々な声部が混ざりあい、会場内に美しい響きが伝わります。
そして、次のプログラムはショパンの即興曲4曲。
性格の違う4曲を軽々と楽しそうに演奏していきます。高音のキラキラした音色がホール中に浸透してくるようなピアニシモ、最後の音が終わってからも、その空気の中に残る響きを感じているかのような仕草に客席で聴いている観客たちも引き込まれます。本当に素敵です。
後半はラフマニノフのヴォーカリーズ。リチャードソン編曲で、普段耳にするヴォーカリーズとは少し違い、初めて耳にしましたが、厚みのある中にも掛け合いの部分があるなど、オーケストレーションをイメージしながら聴か事ができました。
そして、プログラム最後は楽興の時Op.16の6曲。
こちらも、6曲とも性格の違う曲なのですが、どれも本当に素晴らしく、ラフマニノフの曲に秘められている色々な声部の音色が絡まるように層をなして聴こえてきます。4曲目が終わった時には思わず観客からの拍手とブラボーの掛け声、そして最後の2曲の演奏の後には、満席のお客様からの鳴り止まない拍手、目が見えていない事を全く感じさせない本当に素晴らしい演奏でした。
アンコールは大判振る舞いの4曲、ショパンのマズルカ嬰ハ短調、ラフマニノフの鐘、リムスキー=コルサコフのくまんばちの飛行、そしてリストのラ・カンパネラ。ラ・カンパネラはこれまでにも何度か聴いた事があるのですが、美しく広がりのある新たな演奏を聴くことができたように感じました。最後にはピアノの蓋を閉めるという恒例の仕草、控え室に戻っても鳴り止まない拍手。
本当に素晴らしかったです。
また、来年、ソロのリサイタルが開催される事を楽しみしたいと思います。