音楽には休符という表現があります。
休符は音を出しませんが、
「お休み」と考えていると、
手も力を抜いて休んでしまいます。
見た目が緩んでしまうので、
曲の終わりの休符は特にこだわっています。
音符が無いから、
鍵盤が下りていなければ
良いと思うかもしれませんが、
ただ指を上げると、
スイッチをON、OFFしたようにはっきり切れます。
腕を持ち上げると、
鍵盤をゆっくり上げることが出来るのです。
曲によって手の動きが変わり、
音の聴こえ方も異なってきます。
私がこれまでのレッスンで面白いと感じたのは、
休符で次の場所へ移動して待つ場合と
その場で過ごしてから移動する場合で
音が異なるということです。
考えてみると、準備をして次の日を迎えるのと
当日の朝に慌てて準備するのでは、
気持ちが違いますよね。
生徒さんにもそのようにお伝えすると
わかりやすいようです。
休符にはコツがあると理解しても、
鍵盤から手を離すと、
着地に失敗しミスしそうで怖い
と感じる方は多いです。
でも、手を上げることによって、
次の音を響かせることが可能です。
「何かが始まる」と予感させられるでしょうし、
行動の変化によって自分自身も意識するはずです。
ピアノ演奏に限らずなんでも、
上手な人は動きも綺麗です。
迷いや無駄がなく、余裕がある。
そんなことに気づくのは、
意外とピアノを弾いていないときです。