「あなたは音楽家というより表現者だね」
昔言われた言葉。
音大に出て課題をバリバリこなしたという訳ではない
私は、演奏家のように指がすごく動くような技術がある訳でもない。
しかし曲の背景を表現する事は得意だ
特に短調の曲は自分に向いてる
実は私はかなり根暗なのである。
父親がおらず、兄弟もいない私は
幼少期から少し寂しい環境で過ごして来た。
いつもそばにあったのはピアノだった。
寂しい時も悲しい時もピアノを弾いた
孤独の練習が当たり前だった私はいつしか短調の曲を好むようになっていく。
聴いているだけでも耳馴染みが良く、
心地いいとさえ感じる。
もちろん表現するのにも手首の使い方やタッチなどの
技術が必要なのだが得意ということもあり毎年選曲するものは短調の曲ばかり。
満遍なく色々な作曲家の研究する事も必要なのだが、
ピンク色のようなモーツァルトなんてのは若い頃に
ソナタの初めの方を少しかじったくらいで近年聴くことも弾くことも滅多にない
自分で弾いてて涙が出るような演奏
そんな演奏を今の生徒達ができるようにまでなると
「音楽」の「その先」が見えてくるだろう。
幼少期に味わった寂しさはこうして今私の表現力を支える糧となっている