コロナ禍でコンサートを開会するにあたって講ずる新たな大きなこと、言うまでもなく、感染防止にかかる対策です。

いらしていただいた方々が心地よく時間を過ごせるように努めること、それは会を開会するとき常に心していることですが、はびこっている未知の疫病の世情のなかでは、「心地よく」のほかに、実質的な「安全」と気持ちの「安心」を講ずることがプラスされます。対策を講ずるにあたっては、演奏分野のみならず各分野のガイドラインなどで、多々学びました。

どこで開会するか、、、昨秋、大人の発表コンサートでお世話になった汐留ベヒシュタインサロンに決めました。ホールが横広に広いので、空間にゆとりがあります。建物が公園に面しているので、天気が良ければお客様には休憩時間に外でもお過ごしいただけます。そして、その音色と響きで、聴き手も弾き手も優しく力強く包んでくれるピアノが在ります。

いつ開会するか、、、今回は、まだ寒くならないであろう晩秋、人出があまり無いであろう平日、電車が混み合わない時間にいらしていただきお帰りいただけるような時間、に設定しました。

ゲストの方々の席数を何席にするか、、、こちらのホールは通常80席ですが、感染防止対策として当時も現在も30席となっています。私は、この30席をさらに絞り、16席限定での開会としました。

フライヤーをご案内する際には、「ご来場にあたってのお願い」として別紙を付しました。感染防止と感染予防へのご協力のお願いを記した一枚です。具体的には、ご体調がすぐれない場合はご来場を控えていただきたいこと及びその際のキャンセル料は頂戴しないこと、検温と手指消毒のお願いなどです。

会を終えた直後、お客様から、徹底した感染防止対策がとられていた、とお言葉を伺った時は、ホッと安堵しました。その後２週間以降も、皆様がお元気で、重ねて安堵をいただきました。感染防止にしても感染予防にしても、いらした方々のあたたかなお力添えがあって成り立つもの、それを切々と感じた会でした。コンサートは、音の時空間を、いらした方々とご一緒に作り上げていくものです。それは、感染防止対策にしても通じることでした。