左写真:プログラムは”彩り会”らしく色和紙を数種揃えて
右写真:当日のステージ
〜汐留ベヒシュタインサロン ホールS.Sザール〜
暑さが残りつつも、初秋の雰囲気が漂う頃、大人のプライベートコンサートを開会しました。
コンセプトは、「弾きたい曲、憧れの曲を、弾く」。そして、その演奏を、聴いていただきたい方に、聴いていただく。
題して、””音の彩り会 with ベヒシュタイン””。
「弾きたい曲を弾く」のは、当たり前のように思えますが、なかなかどうして、機会はそう多くないものです。人前で弾くとなると、準備にはそれなりの時間が必要で、曲の難易度と準備時間は、比例します。そして、憧れの曲は、往々にして、大曲、難曲です。
さらに、大人は、日々、公私ともに多用です。弾きたい曲をステージで弾くために、2年ちょっと前から構想を描き、1年半ぐらい前から出演ピアニストたちは準備を始めました。1年半と言っても、日々多用な大人の練習時間の実質は、おそらく、その半分ぐらいでしょう。
出演の皆様方は、多用多忙な日常から時間を作り出して準備しているので、その準備の成果が美しく昇華できるよう、発表ステージの場は「佳いピアノ」で「佳い響き」のところを望みました。選んだところは汐留ベヒシュタインサロンのホールです。
「佳いピアノ」は、本番演奏で、緊張している弾き手を優しく包んでくれて、その時まで積み上げてきたものをあたたかく引き出してくれます。私は、そう感じ、そう信じています。
今回の会は、ソロ8曲、連弾1曲、2台デュオ4曲、のプログラムでした。演奏者が「弾きたい」と強く思った曲が集まったわけですが、作曲された時代をみると、バロックから現代までを網羅した会になりました。
今、あらためて、プログラムを眺めてみると、美しい曲、華やかな曲、コントラストが明確な曲と、いずれも、その存在感は強烈で主張がある曲ばかり。弾き手に「弾きたい」と思わせる所以をあらためて感じます。18世紀に生まれた曲でも、19世紀に生まれた曲でも、今に生きる人たちを魅了する。それは、実に、ミステリアス。だからこそ、弾いていくことがやめられません。
「音の彩り会」と称したコンサートから、2ヶ月近く経ちました。出演したピアニストたちは、緊張からも、ステージ直後の高揚感からも、緩やかに解放され、次なる自身の”音楽”を探る旅に発っています。
さて、私は、会のエンディングにて、ご来場の方々、ご尽力いただいたホールの方々、出演ピアニストの方々への感謝の思いを込めて、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」をお届けしました。
「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに作曲されるべきです。“Il conviendrait de ne composer de la musique pour piano que pour le Bechstein.”」と言うほど、ベヒシュタインを気に入っていたドビュッシー。彼が自信作のひとつとしていたのが、「前奏曲集」。「亜麻色の髪の乙女」は、「前奏曲集」のなかの一曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=sOTCzpcred8