谷内彩子ピアノレッスン

〜いつも心に音楽を〜
ピティナ指導者ライセンス エッセイ(小論文)初級
2022/10/01 公開

私と音楽

〜ピアノ指導を通して何を子供に伝えたいか~


子育てが一段落した今、私の中で「ピアノを教えるということ」の意義が明確になった ように思います。


 それは「達成感」や「自己表現の楽しさ」を持ってほしいということです。 ピアノを弾くということは最終的には作曲家の魂の結晶である作品を勉強し仕上げていく ことであり、その過程は人間としても成長できるものと考えるからです。 近頃は「頭脳明晰な子が育つ習い事はピアノ」という話が浸透しているせいか親御さんが一生懸命で、ピアノに対する子供と親との温度差を感じる例が少なくありません。 


そんな感じの幼いお子さんに、いきなり楽譜をみて弾きましょうというような、お勉強的 なレッスンを展開しようものなら、やらされている感が先だち、ピアノ嫌いになってしまいます。こちらがテキスト通りにやりさえすればと頑張るほど空回りします。 一般的に子供はエネルギーに満ち溢れ、自分で何かしたい、出来ると思っているようで す。まず大事なことは、一番何に興味を示すか。よく知っているアニメの歌や童謡、それらの 絵本にはだいたい興味を持ってくれます。好きなことや自分が理解できるものに興味をもつようで す。ここからは指導者の腕のみせどころ。バスティン・メソッドの講座で藤原亜津子先生 がおっしゃっていた「メソッドはレシピ、先生はコック」つまり、創意工夫です。

子供の興味に関連付けて、その子がやりたいようにやっているつもりでも 1 つはピアノに関する ことを覚えていってもらうようにする。 例えば猫ちゃんにもドーナツをあげようね、と親指と人差し指作った輪でドの音を連打し ます。これは脱力しながら良い形で鍵盤を打つ導入となっています。何個あげようかな? と数字を数えながら指番号に持っていければしめたものです。 黒鍵二つのスペースにはネコ(二文字)の切り抜きも載せておきます。大事なのは、お家 で繰り返し、親御さんが「すごいね、できたね。」と声をかけてあげてほしいとお話し、ど んどん進んでほしいであろう親御さんの理解も得ること。当たり前や簡単な事でも、子供 が自分で発見できた、できるようになったという気持ちをもてるように。そしてそれを認 めてもらって嬉しいという気持ちがとても大事な過程だと考えます。 ドレミファソラシドも、階段の絵にして猫が歩いている様子から、ネコちゃん上がってる ね、という言葉が誘導できるようにピアノで音階を弾き、指導者はどのような状況にもピ アノの要素を取り込めるように感覚を総動員させます。


 そして、最近改めて大事だと感じる「おうた」、ソルフェージュ。 小学生からピアノを始める生徒さんは読譜に関してはスムーズにいきます。ただ、メロデ ィーを声に出して歌ってみようとなると、一本調子になってしまいドレミの音程で歌えな い子が多いのです。読譜ができても、それを頭の中で響かせて声として発することができ ないのは困ります。こうした場合は抑揚の少ないメロディー(メリーさんの羊等)を聴音 (聴き取り)して歌うことをやります。 いわば未就園児の導入に戻ったようなレッスンですが、とても大事な要素です。 大先輩の発表会では導入時期の幼い生徒は先生の伴奏で歌を一人舞台で披露していました。 

ピアノを弾いて、歌わせるということは、自分の経験から得たスキルと学びの集大成なのです。

 ピアノ教室に初めて来る子供達は、何でもやりたい、できると思っている子供達です。 すぐに鍵盤奏はできなくても、一緒に歌って手拍子したり、五線にシールを貼ったり、ナ ンバーシールを指には貼ったり、子供達は自分ができたことに喜びを感じて笑顔になりま す。そこに、ピアノの要素をどれだけ織り込めるか。どれだけ積み重ねたら一曲弾けるよ うになるか。好きな曲が弾けた達成感は自己表現ができた喜びだと心でわかるはずです。 最近は、お稽古ごとを長く続けるというより中学受験等で中断してしまう子も多いよう に感じますが、好きな曲が弾けた達成感、つまり自分を表現できる力は忘れずに持ってい てほしいと思っています。 それを胸に、いろんなことにチャレンジして未来に羽ばたいていってほしいと願っています。